ほんとかな?消費税・給付の解説
やさしい解説

食べ物の消費税1%と、1人8万円。くらべてみよう

2027年4月から2年間、食べ物にかかる消費税が8%から1%に下がります。1人あたり、税はいくら減るのでしょう。国が使う約10兆円を、もし全員に同じ額ずつ配ったら、1人8万円。この2つを、数字と図でくらべます。

食べ物が入ったかごと、お金の入った封筒のイラスト食べ物の減税1人8万円
  1. 決まっていること
  2. 100円の物はいくらになる?
  3. 1人1年で、税はいくら減る?
  4. 国の説明「1人3.6万円」とくらべると
  5. 3.6万円になるのは、どんな買い物?
  6. 年収が高い家だと変わる?
  7. 2年間で、1人8万円とくらべると
  8. まだ決まっていないこと
  9. よく聞く言い方を、確かめる

決まっていること

2026年9月15日に、国(政府)がこう決めました。

いつから2027年4月
どれくらいの間2年間
食べ物の消費税8%→1%

対象は、スーパーやコンビニで買う食べ物・飲み物、持ち帰りのお弁当など。外食とお酒は入りません。

食べ物の消費税は、2年間だけ8%から1%に下がります。

元の資料を見る(線を引いた部分)
大綱 p.1。2年間に限った飲食料品の消費税率の臨時的な引下げ、の部分に赤線
内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定)p.1

出典:内閣官房 大綱(PDF)

100円の物は、いくらになる?

いま、本体100円のおにぎりは、消費税8円がのって108円です。減税で変わるのは、この税の部分です。

減る税は 7円

払うお金は108円から101円に。減った7円は税の分で、払う額の約6.5%にあたります。

計算:7 ÷ 108 = 約0.065。本体の値段をお店が変えなかった場合です。

1人1年で、税はいくら減る?

国の家計調査で、外食とお酒を除いた食べ物に使うお金は、1人1か月26,422円(全国平均)です。

1人1年の減税レシート

1か月の食べ物代26,422円
× 12か月317,064円
× 約6.5%(7÷108)
1年で減る税約20,551円

「外食」の中に、減税になる分がかくれている

出前・宅配や、お店で買って持ち帰る食べ物は、減税の対象です(今の軽減税率と同じ範囲)。ところが家計調査は、飲食店の食べ物を、出前でも持ち帰りでも、まとめて「外食」に数えています。上のレシートは外食を全部はずしたので、この分が入っていません。

店の中で食べる

  • 減税の対象外(10%のまま)

出前・宅配・持ち帰り

  • 減税の対象(8%→1%)
  • Uber Eatsなどの宅配も同じ

家計調査では、この2つを分けて数えていません。そこで「外食を全部はずした場合」と「外食を全部入れた場合」のあいだとして、幅で示します。

1人あたり、1年で減る税は約2.1万〜2.5万円。出前や持ち帰りをよく使う家ほど、多い方に近づきます。

出典:総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 2025年 第3表。食料72,437円から外食12,648円・酒類2,981円を引き、世帯人員2.15人で割った値(外食を全部入れる場合は外食を引かず1人月32,305円)。e-Stat。外食の分類:家計調査「収支項目分類及びその内容例示」に「飲食店により提供された飲食物は,出前,宅配,持ち帰りの別にかかわらず,全て「外食」に分類する」(収支項目分類(Excel))。減税の範囲:大綱 p.2「現行の軽減税率の適用対象となっている飲食料品」。「全部入れる」は、店内での食事やお店での飲酒もふくむので、実際より多めの値です。

国の説明「1人3.6万円」とくらべると

首相は国会で、食べ物の減税で負担が軽くなるのは「国民1人当たり約3.6万円」と答えました。減る税金の見込み(年間約4.3兆円)を、人口で割った数字だと説明しています。

外食を全部はずした場合 出前・持ち帰りの分(多くて)

家の食費から計算すると、国の説明の約57〜70%。外食を全部入れても届きません。

3.6万円は国全体の減収を人口で割った平均で、家計の食費から計算した額とは計算のしかたがちがいます。出典:首相答弁(2026年10月9日 参院代表質問)の報道。時事通信(魚拓)。国会会議録の公開後に差し替えます。

3.6万円になるのは、どんな買い物?

1人1年で3.6万円の税が減るには、対象の食べ物を1人1か月46,286円買う必要があります。外食を除いた今の26,422円の何倍でしょう。

1.75倍

外食を除いた場合。同じ量を買うなら、値段がこうなるイメージ

卵10個

321円 →562円

牛乳1L

264円 →462円

食パン1kg

566円 →991円

米5kg

2,837円 →4,965円

豚肉(輸入ロース)100g

171円 →299円

ポテトチップス100g

224円 →392円

国の説明どおりに税が減るには、外食を除くと今の約1.75倍、外食を全部ふくめても約1.43倍の食べ物代が必要です。

計算:36,000円 ÷ 12か月 ÷ 約6.5% = 46,286円。46,286 ÷ 26,422 = 約1.75倍。外食を全部ふくめると 46,286 ÷ 32,305 = 約1.43倍。値上げの予想ではなく、平均の数字どうしの差を、ふだんの値段に当てはめたものです。値段の出典:総務省 小売物価統計調査 2026年8月(東京都区部)、米は農林水産省 スーパーでの販売価格(10月16日発表、10月5日〜11日の全国平均)。

計算の図を見る
必要な食費46,286円と実際の食費26,422円をくらべた図
家計調査と小売物価統計調査をもとに作成(米の値段は10月9日発表の2,860円で作図)

年収が高い家だと変わる?

家を年収の順に10のグループに分けて、1人1年で減る税を計算しました。こい色は外食を全部はずした場合、うすい色は出前・持ち帰りの分(多くて)です。右はしの点線が、国の説明(36,000円)の位置です。

1人あたりでは、どの年収でも約1.8万〜2.7万円。国の説明(3.6万円)に届くグループはありません。

年収が上がるほど、食べ物代のうち外食の割合が大きくなります(約11%→約26%)。そのため年収が高い家ほど、計算からもれやすい出前・持ち帰りの分が大きく、うすい色の部分が長くなります。

家全体で見ると、さらに差が開きます。年収が高い家ほど人数が多く、食べ物代も多いので、家全体で減る税は大きくなります(1年で、いちばん下のグループ 約2.5万〜2.8万円、いちばん上のグループ 約6.3万〜8.6万円)。

出典:総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 2025年 第3表(年間収入十分位階級別)e-Stat。1人あたり対象食費 ×12か月 ×7/108 で計算。こい色は食料から外食・酒類を引いた額、うすい色の右はしは食料から酒類だけを引いた額。外食の割合=外食÷食料。

計算の表を見る
年収別の世帯人員・食費・減税額の計算表
家計調査 第3表の値と、そこからの計算値(外食を全部はずした場合)

2年間で、1人8万円とくらべると

減税の期間は2年間です。2年分を合わせて、1人8万円を配った場合とくらべます。

平均的な家の食費なら、2年分の減税は1人8万円の約5〜6割です。

「1人8万円」は、減税と同じくらいの約10兆円を全員に同じ額ずつ配った場合の単純計算で、政府の案ではありません。実際に配る方式によっては、所得に応じて税で一部を負担する場合があります。

あなたの家の人数と食費で計算すると、どちらが多いかが分かります。

あなたの家で計算する

まだ決まっていないこと

今回の政府の案には、減税とは別に「支援金」(所得に応じて配るお金)もあります。こちらは、まだ決まっていないことが多いです。

決まっていること

  • 個人ごとに配る
  • 勤労所得が「所得下限額」を超える人が対象
  • 本格的に始めるのは令和11年度(2029年度)。減税はそれまでの「つなぎ」

まだ決まっていないこと

  • 「所得下限額」がいくらか、1人いくらもらえるか
  • 支援金の対象にならない、収入の少ない人や病気・障害などで働けない人への対策(令和10年度中に結論を出す)

支援金の金額はまだ決まっていないので、このサイトの計算には入れていません。

元の資料を見る:支援金の対象(p.7)
大綱 p.7 支給要件。所得下限額を超えること、の部分に赤線
大綱 p.7(第三 一 1 支給要件)
元の資料を見る:対象外の人への対策(p.16)
大綱 p.16 検討事項4。支援金制度の対象とならない人への措置について、令和10年度中に結論を得る、の部分
大綱 p.16(四 支援金制度に係る検討事項 4)

出典:内閣官房 大綱(PDF)

よく聞く言い方を、確かめる

減税や給付の話でよく聞く言い方を、ほんとかどうか確かめます。まちがいではないけれど、大事なところが抜けている言い方もあります。

半分ほんと「買い物のたびに自動で安くなる」

→ 払う合計が減るのはほんとです。ただし値引きではありません。品物の本体の値段はそのままで、上にのせる消費税が8%から1%に減るのです。レシートに「値引き」の行は出ません。

レシートの見本(説明用のイラスト)。品物の値段と小計は同じで、変わるのは消費税の行だけです。

本体1,000円分の買い物なら、税が80円から10円に。買った分だけ、この減税の効果を受けられます。

半分ほんと「消費税が下がれば、値段が下がる」

→ 法律で必ず下がるのは税率です。値段を決めるのはお店です。首相は「価格に反映される」と答弁しています。

半分ほんと「1人3.6万円の負担減」

→ 国全体の減収見込み(年間約4.3兆円)を人口で割った計算としては合っています。ただ、家計調査の平均の食費で計算すると1人約2.1万〜2.5万円です(3章・4章)。暮らしの実態を反映した数字ではありません。

2つのしくみをくらべる

食べ物の消費税を1%に1人◯万円を配る(例)

どれだけ得になる?

税率が下がり、買った食べ物の分だけ減税の効果を受けられる(税込の額の約6.5%)。外食・お酒は対象外
1人ずつ同じ金額。何をどれだけ買うかに関係ない

どんな家ほど額が大きい?

食べ物をたくさん買う家。家全体では、年収が高い家ほど大きい(6章)
人数が多い家。年収には関係ない(所得で分けない配り方の場合)

いつから?

2027年4月から。それまでは変わらない
配る時期しだい。決めてから届くまで準備がいる

いつまで?

注意2年間だけ。終わると8%に戻り、101円の物が108円に。一度に約7%値上がりする
1回配ったら終わり。値段が戻る「揺り戻し」はない。続けるなら、もう一度決める必要がある

本当に値段に届く?

注意税率は下がるが、値段を下げるかはお店しだい
お金が直接届く。値段のしくみは変わらない

手間は?

買う人の申し込みはいらない。お店はレジと値札を、始まりと終わりの2回切り替える
注意受け付けや振り込みの事務がいる。配り方によっては申し込みが必要

どちらが合うかは、家の人数と食費、そして2年後の値上がりをどう考えるかで変わります。

「価格に反映される」:ABEMA TIMES(2026年10月9日)(魚拓)。101円→108円は、税込108円の物が1%で101円になり、8%に戻ると108円になる計算(108÷101=約1.069)。

あなたの家だと、どっちが多い?

人数と食費で計算する

出典

  1. 内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定) https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shouhizei_zeigakukoujo/pdf/sankou8.pdf
  2. 総務省統計局 家計調査 家計収支編 総世帯 2025年 第3表 e-Stat
  3. 総務省 小売物価統計調査(動向編)2026年8月 第1表「主要品目の都市別小売価格」東京都区部 e-Stat
  4. 農林水産省「スーパーでの販売数量・価格の推移(POSデータ)」2026年10月16日発表 PDF(毎週上書きされるため魚拓)
  5. 首相答弁(2026年10月9日 参院代表質問)の報道:時事通信(魚拓)、ABEMA TIMES(魚拓)。国会会議録の公開後に差し替えます